英語学習においては、発音が重要です。しかし、多くの日本人にとって英語の発音は大きな課題です。この記事では、英語の発音に関する基礎知識や効果的な練習方法、日本人が間違えやすい発音について解説します。
記事を読めば、英語の発音に対する理解が深まり、自信をもって英語を話せるようになります。英語の発音を上達させるには、基本的な音素を理解したうえで、適切に組み合わせる練習が大切です。
英語の発音に関する基礎知識

英語の発音の基本を押さえると、リスニング力や会話力の向上につながります。以下の項目ごとに、英語の発音に関する基礎知識を解説します。
- 英語の母音と子音
- 発音記号の読み方
英語の母音と子音
母音は声帯の振動によってつくられる音です。口の開き方や舌の位置によって変化します。子音は空気の流れを妨げることでつくられる音です。英語には5つの基本的な母音文字(A・E・ I・ O・ U)がありますが、実際に発音される母音音素は約20種類もあります。
日本語の母音音素は5つですので、大きな差異です。英語の子音は24種類あり、調音点(音をつくる場所)と調音法(音のつくり方)に分類されます。唇音や歯音、軟口蓋音などに分けられる点が特徴です。英語の発音では、母音と子音の組み合わせによって音節が形成されます。
日本語と異なり、子音の連続(子音クラスター)が存在するので、発音が難しく感じる場合があります。英語の発音では、無声音と有声音の区別や母音の長さの違いが意味を変える場合がある点も特徴です。強勢(ストレス)が母音の発音に影響を与えたり、シュワー(曖昧母音)が頻繁に使用されたりします。
発音記号の読み方
国際音声記号(IPA)をもとにしているため、世界中で共通して使われます。母音記号は口の開き方や舌の位置で表され、子音記号は調音点と調音法で表現される点が特徴です。記号の理解により、単語の正確な発音がわかります。発音記号を読むためには、以下の要素に注目しましょう。
- 記号の形状
- 補助記号
- 強勢記号
- イントネーション記号
発音記号は練習と慣れが必要ですが、音声サンプルと併せて学習すると、効果的に理解を深められます。発音記号の理解により、新しい単語に出会ったときに正確な発音を推測できます。
英語学習において大きなメリットですが、辞書によって使用される記号が異なる場合もあるため注意が必要です。
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英語の発音が難しい理由

英語の発音が日本人にとって難しい理由は、以下のとおりです。
- 母音や子音の多さ
- 音節の違い
- リズムやアクセントの違い
- 音声変化(リエゾン)の難しさ
母音や子音の多さ
日本語と比べて英語には多くの音素があるので、発音の習得に時間がかかります。英語には約20種類の母音がありますが、日本語には5種類しかありません。子音は、英語では24種類、日本語では14種類です。英語特有の音素は以下のとおりです。
- th音
- r音
- l音
英語には二重母音や三重母音など、複雑な母音の組み合わせがあります。子音クラスター(子音の連続)が頻繁に出現する点も特徴です。日本語では子音と母音が交互に出てくる場合が多いですが、英語では子音が連続する場合があるため発音が難しくなります。
音節の違い
日本語と英語では音節の構造が大きく異なるため、違いの理解が重要です。日本語の音節は母音で終わり「か・き・く・け・こ」のように単純な構造をしています。英語の音節は子音で終わる場合も多く、より複雑な構造をもっています。「ストレス」を例に考えましょう。
日本語では「ス・ト・レ・ス」と4つの音節に分かれますが、英語では「stress」と1音節になります。音節の違いを意識すると、より自然な英語発音に近づきます。音節ごとの区切りやリズム、アクセントを意識して練習しましょう。子音連続に対する慣れも大切です。
リズムやアクセントの違い

英語はストレスアクセント言語であり、強勢拍リズムが特徴です。文章の中で重要な語を強く発音し、重要でない語を弱く発音するため、英語の文章全体のリズムは波のように上下します。日本語は高低アクセント言語で、各音節の長さがほぼ均等な音節拍リズムが特徴です。
日本語では各音節の長さがほぼ均等ですが、英語では強勢のある音節が長く発音される傾向です。英語は機能語(冠詞や前置詞など)を弱く発音します。
文強勢は意味や文脈によって変化し、イントネーションは文の種類や話者の感情を表します。発音練習の際は、文章全体のリズムやイントネーションにも注目しましょう。
音声変化(リエゾン)の難しさ
音声変化(リエゾン)は、単語と単語がつながって発音が変化する現象を指します。自然な会話で頻繁に起こるため、聞き取りが困難になります。音声変化の具体例は以下のとおりです。
- 連結(Linking)
- 脱落(Elision)
- 同化(Assimilation)
連結とは、単語の最後の音と次に続く単語の、最初の音がつながる現象を指します。脱落は特定の音が省略される現象、同化は隣接する音が影響し合って変化する現象を指します。音声変化を習得するには、多くのリスニングと練習が必要です。ネイティブスピーカーのまねが重要ですが、文脈や状況に応じて適切に使用する必要があります。
音声変化は、英語の速度や流暢さに大きく影響します。
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英語の発音を練習する方法

英語の発音を練習する効果的な方法は、以下のとおりです。
- 発音記号を覚える
- フォニックスを覚える
- シャドーイングをする
- ディクテーションをする
発音記号を覚える
発音記号を覚える際には、国際音声記号(IPA)の基本を理解しましょう。母音と子音を区別して覚える方法も効率的です。辞書を使って発音記号を確認しながら、実際の発音と関連付けて覚えましょう。発音記号を使った練習により、自分の発音の改善点を見つけやすくなります。
音声付き教材を活用すると、記号と実際の音を一致させやすくなるため効果的です。定期的に発音記号を復習すれば、記憶が定着します。発音記号を使ったゲームや暗記カードの活用も、楽しく学ぶ方法の一つです。
フォニックスを覚える
文字と音の関係を体系的に理解すると、正確な発音が身に付きます。フォニックスを覚える際は、アルファベットの音を個別に学習しましょう。文字の組み合わせや発音規則も重要です。「a」「e」「i」「o」「u」の母音の発音や「sh」「ch」「th」など、子音の組み合わせの発音も学びましょう。
フォニックスを学ぶと、リーディングやスペリングの能力も向上します。おすすめの学習方法は以下のとおりです。
- 単語を音節に分解する
- 短母音と長母音の違いを意識する
- 二重母音の発音を覚える
- 子音の組み合わせを確認する
シャドーイングをする

ネイティブスピーカーの音声を聞きながら、同時に声を出してまねると、自然な発音やイントネーションを身に付けられます。練習方法のポイントは以下のとおりです。
- 短い文章から開始する
- 音声の速度や抑揚、リズムを意識する
- 口の動きもまねる
自分の声を録音してネイティブの音声と比較すると、改善点を見つけられます。意味を理解しながらシャドーイングすれば、リスニング力も同時に向上します。定期的に練習を続け、徐々にスピードを上げましょう。シャドーイングは手軽に始められる練習方法で、日々の学習に取り入れやすく、おすすめです。
ディクテーションをする
音声を聞いて書き取ると、リスニング力と文法力が同時に向上します。ディクテーションは単語レベルから始め、フレーズや短文に進み、最終的に長文や会話文に挑戦しましょう。効果的な練習のためには、速度や難易度の調整や自己添削が大切です。
繰り返し聞いて細部まで聞き取ることや、音の変化や省略に注意を払うことも重要です。多様な話者や場面の音声を使用すると、実践的なリスニング力を養えます。苦手な音や表現があれば、重点的に練習しましょう。
日本人が間違えやすい英語の発音とコツ

舌や唇の位置、口の開け方、息の出し方に注意した練習が大切です。日本人にとって間違えやすい英語の発音とコツについて、以下の項目ごとに解説します。
- RとLの発音の違いとコツ
- VとBの発音の違いとコツ
- THを発音するコツ
鏡を見ながら口の形を確認したり、ネイティブの発音をまねて繰り返し練習したりすると効果的です。
RとLの発音の違いとコツ
RとLの発音の主な違いは、以下のとおりです。
発音の違い | R | L |
舌の位置 | 舌を巻き上げて喉の奥で音をつくる | 舌先を上顎につけて前方で音を出す |
口の形 | 唇を少し丸める | 唇を平らに保つ |
舌の使い方 | 舌全体を使う | 舌先のみを使う |
単語の最初の強さ | 強めに発音する | 軽めに発音する |
right・lightやred・led、rice・liceのような単語ペアで練習しましょう。
VとBの発音の違いとコツ

VとBの発音の違いは、口の形と声帯の使い方にあります。Vは上の前歯を下唇に軽く当てて発音する摩擦音です。Bは両唇を閉じて発音する破裂音です。どちらも声帯を振動させて発音する有声音ですが、日本語にない音のため練習が必要になります。
very・berryのような、最小のペアで聞き分け練習をすると効果的です。単語の最初と最後でVとBの発音を練習すると、より自然な発音が身に付きます。
THを発音するコツ
THを発音するコツは、舌先の位置や舌の出し方、息の漏らし方にあります。舌先を上の前歯の裏に軽く当て、舌を前歯の間から少し出しましょう。息を舌と歯の間から漏らします。発音する際は、無声音は声帯を振動させず、有声音は振動させて発音します。練習のポイントは以下のとおりです。
- 「ス」や「ズ」の音に近づけない
- 口を横に広げすぎない
- 舌を噛まない
ネイティブ英語の発音を目指すコツ

ネイティブ英語の発音を目指すコツは以下のとおりです。
- グローバルな耳を育てる
- 第二言語として英語力を磨く
グローバルな耳を育てる
さまざまな国や地域の英語に触れて、多様な発音やアクセントに慣れましょう。グローバルな耳を育てるためにおすすめの方法は、以下のとおりです。
- 英語のニュースやポッドキャスト
- 映画やドラマの原語視聴
- 異なる国や地域の英語話者との交流
- 国際的なイベントや会議への参加
最初は聞き取りづらく感じる場合もありますが、継続的に取り組みましょう。音楽を通じて英語の発音に触れる方法も効果的です。歌詞を聴き取りながら、アーティストの発音や表現の特徴、方言や地域性のある表現に注目しましょう。異文化理解にもつながるので、国際的な場面で活躍したい方にとって大切なスキルです。
第二言語として英語力を磨く
第二言語として英語力を磨くために、英語を日常的に使用する環境を意識しましょう。英語メディアの活用や英語での読書、英語のみの会話やライティング練習が英語力向上に役立ちます。英語に触れるだけでなく、英語圏の文化や習慣の学習も大切です。文化的な背景の理解により、自然な英語を使用できます。
英語でのプレゼンテーションやスピーチも効果的です。人前で英語を使用すると、実践的なコミュニケーション能力が磨かれます。英語のイディオムや慣用句の学習も、自然な英語表現を身に付けるために効果的です。表現を使いこなせると、ネイティブスピーカーに近づきます。英語での思考の習慣化も重要です。
日常生活の中で、英語で考える時間を取りましょう。
» 英語習得にはどれくらいかかる?必要な時間や、時間短縮方法を紹介!
英語の発音練習に役立つツール

英語の発音練習に役立つツールは以下のとおりです。
- 映画・ポッドキャスト
- 英語発音アプリ
- オンライン英会話
映画・ポッドキャスト
映画やポッドキャスト、TEDTalksはネイティブスピーカーの自然な発音や会話を聞けるため、発音練習に最適です。映画やドラマのワンシーンを選び、繰り返し音読して発音を磨きましょう。好きな俳優や声優の英語の発音をまねて練習すると、楽しみながら上達できます。
英語学習用ポッドキャストを利用すれば、発音のコツや練習方法を学べます。英語のラジオ番組を聴き、アクセントや抑揚を練習しましょう。
英語発音アプリ

英語発音アプリは、音声認識技術を活用して発音を評価し、改善点を指摘してくれる仕組みです。特徴は以下のとおりです。
- ネイティブスピーカーの音声サンプルの提供
- 単語やフレーズ、文章レベルでの練習が可能
- 発音記号や口の形の視覚的表示
- ゲーム感覚で楽しく学習できる機能
- 個人の弱点に合わせた練習メニューの提案
ユーザーの進捗状況や改善点を記録・分析する機能を備えるアプリも多くあります。オフラインで使用できるアプリもあるので、通勤中や隙間時間を利用して練習できます。無料版と有料版があり、機能に差がある場合が多い傾向です。定期的な更新で新しい単語や表現が追加されるため、長期的な学習にもおすすめです。
AIを活用した高度な発音分析機能を搭載したアプリや、多言語対応でさまざまな英語アクセントを学習できるアプリもあります。
オンライン英会話
自宅にいながらネイティブスピーカーと直接会話できるため、リアルタイムで発音の指導を受けられます。メリットは以下のとおりです。
- 即座のフィードバック
- 発音の癖や間違いの気づき
- 正しい発音の練習
オンライン英会話を始める前に、自分のレベルや目的に合った講師やプログラム選びが大切です。無料体験レッスンを活用して、自分に合うサービスを見つけましょう。継続的に受講すると、着実に発音力が向上します。短時間のレッスンから始めて、徐々に時間を増やすと効果的です。
スマートフォンやタブレットでも受講できるため、隙間時間を活用して学習を進められます。オンライン英会話は発音練習だけでなく、リスニング力の向上や文化交流の機会にもなります。
まとめ

英語の発音を上達させるには、基礎知識の習得と継続的な練習が大切です。母音と子音の違いを理解し、発音記号を学ぶことから始めましょう。発音が難しい理由がわかれば、効果的な練習方法を選べます。シャドーイングやディクテーションなどの練習方法を取り入れ、日本人が苦手とする発音にも注目しましょう。
ネイティブの発音を目指すためには、グローバルな耳を育てることが重要です。映画やポッドキャスト、アプリやオンライン英会話などのさまざまなツールを活用すると、楽しみながら発音力を磨けます。
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